各格安スマホを各社検証しています。費用対効果と使い勝手で主に良し悪しを考えています。技術面ではeSIMやAPNプロファイルの有無と通信速度と安定度、制限後の通信速度など、それから通話定額や各種オプションなどにも言及できればと思います。
前提:携帯電話のキャリアについてですが、総務省の各条件をクリアしたソフトバンク、NTT、KDDI、楽天のみに電波を使用する利用権が与えられています。元をたどると公営だったものが民間になり、大きく分けて今の4社の独占事業となっています。
基本的な考えとして、行政は権利を与えると同時に基地局を整備するなどの義務を負わせ利用者に質の高いサービスを提供することと市場に競争原理を取り入れることを名目に認可をしています。ただこのバランスが非常に悪く、古くから事業に参加している会社にはユーザの囲い込みが容易なため有利となり利益が十分確保できる状態ですが、近年参加した楽天などは基盤となるユーザ数を確保できず、設備費用や販促費で大赤字の状態です。
ただ、ユーザにはそんなこと関係なく、より電波が安定して・早く・つながりやすい、さらに安い事業者を使いたいわけです。そこでキャリア(MNO)各社は、個人と契約するだけではなく、ユーザを囲い込むためより販売が上手な会社に安くで通信回線を卸して(貸して)利益を得ています。その通信回線を貸し出された先がMVNOと呼ばれている格安SIM事業者です。格安SIM事業者は貸し出された回線の帯域にうまく利用者を制限しながら、顧客向けにサービスを展開しています。大手キャリアとは異なるユニークなプランを提供している事業者も多いです。
多くの人が勘違いしていること
- キャリアで固定インターネット回線と一緒に契約したら安くなりますが、トータルは高くなります
- 家族が多くて割引が多くなっても、キャリアはトータルでは高くなります
- キャリア決済を使ってポイントを貯めていないならキャリアを使う意味は限りなく薄くなります
- 端末は個別で買った方が安くなります、Amazon等での購入をおすすめします
先におすすめすると、何も気にしないなら楽天、無難ならahamo、安くで使いたいならpovo、家族で使いたいならイオンモバイル、がおすすめです。
5G対応、テザリング対応、解約手数料は不要、等を前提としています。すべて自身で直近1年以内に使用したことがあるものを掲載しています。
なお会社使用のスマホは大手のサブブランドを複数回線法人契約していますが、最もコスパ良く使いたいのであれば、一般に公開されているプランではなく個別の契約を結ぶことに限ると感じています。
IIJmio(みおふぉん)
格安スマホの老舗。安さと品質のバランスがちょうどよいです。eSIMは対応していますが、APNプロファイルが不要なのはデータ通信SIMのみとなります。日割りがないのと、マイページからの設定がプランを変更すると各種手続きができなくなるなど、柔軟性は低いと感じています。
速度についてはau回線もドコモ回線も安定していますが、初速が遅く感じます。いまだに3日あたりの通信量が366MBを超えると通信制限がかかるため、実際制限がかかることはほとんどありませんが、外出先でSNSを多用する方などにはあまりお勧めはできません。
誰でもダウンロード可能でしたが、最近ではAPNはアプリからのみダウンロード可能となっています。
povo2.0
auのサブブランドです。音声通話SIMが基本料金0円で、オプションを月や日によってトッピングすることで運用可能です。毎月決まった使い方をした人は、1年分のデータを前もって買ったり、通話オプションを買っておくと操作不要で維持できるので、煩雑さはありません。個人契約のみ。
通信の品質はかなり高く、データ使い放題が実質丸2日で330円で使用でき、通信制限等も通常の使用方法だとないため、週末や旅行、入院の時は使い放題、その他は必要な分だけギガを購入、といった自分の生活にあった使い方ができます。
eSIMとnanoSIMが選択できますが、いずれもAPNプロファイルは不要となり、サブ回線としてデュアルSIM運用もお勧めできます。この中でどれが一番勧められるかといえばこちらになります。
LINEMO
ソフトバンクのサブブランドです。ソフトバンクはワイモバイルをサブブランドとしてキャンペーンを打ちまくってユーザを集めていましたが、LINEと日本ヤフーが経営統合したため、サブブランドが両立されることとなりました。プランは微妙に違いますが、ワイモバイル同様、お得に使うならキャンペーンを活用したMNPで渡り歩いている方が多く選んでいる印象です。新規・転入のみ日割り対応です。個人契約のみ。
eSIMでのAPNプロファイルは不要で、LYPプレミアムが付属するのとソフトバンクまとめて支払いが使用可能となるため、ヤフオクやヤフーショッピングを使ったりPayPayを多用する方には選択肢のひとつです。
JCOMモバイル
特にJCOMモバイルを選ぶ理由はありません。他との違いは物理SIMに限りますが、名義変更(譲渡)手数料がかからないのと個人と同じプランを法人契約で可能(eSIMは不可)です。MNPは即日転入転出可能(2台目以降は時間がかかります)。日割り計算。eSIMとSIMカードで違いがあるのですが、ホームページ上でeSIMと物理SIMカードでの手続き可否の情報などが掲示されていないため、申込前に事前に手続きにかかる時間や手続きができるのかなどを確認する必要があります。eSIMと物理SIMの乗り入れはできません。料金設定は他の選択肢に比べると高めで、速度も速いとはどちらかとは言えません。
こちらのeSIMのAプランはAPNプロファイルは不要でした。店舗手続きやdプランの場合はプロファイルが必要な場合があり、MNP等の手続きも1週間以上かかります。アプリはパーソナルIDでのログインとSMS認証が必要です。
楽天モバイル
通信量無制限で使いたいのでしたらこちら一択です。固定回線が不要になります。ただし通話音質が非常に悪く、かけ放題サービスはアプリ利用に限定されていて、OSの標準アプリでの無制限での通話オプションはありません。法人契約もだ同様のため、標準の音声通話を多用する方はその品質を確認する必要があります。
eSIM対応で、APNプロファイルは不要です。即日発行がありますが、郵送物の受け取りをした翌日まではアプリ内で各種手続きができません。
mineo
データパフォーマンスが最も高く、データ無制限を格安で実現可能です。また通話定額のオプションが安いなど、様々な条件を重ねるだけのプランが用意されています。常にキャンペーンが行われていたり、一度解約を行ってもまた戻ってくる際に事務手数料が無料になるキャンペーンなどが行われています。
速度は可もなく不可もなくで、安定はしています。できることが多く用意されていますが、povoなどのトッピングより複雑で、マイネオを楽しく触ることができる人でないと煩雑だと感じてしまうかと思います。ちなみにmineoのパケットはオークション市場で格安で取引される公然の秘密になっています(規約違反に該当します)。
eSIM利用可能ですが、APNプロファイルは必須になります。プランの選択を間違えなければ良いですが、プランの相互互換が一部ないため、プラン選択を誤ると解約が必要になるのと、A・D・Sプランのプラン変更では手数料がかかるため、お試し感覚だと料金が発生します。通信制限後や低速の使い放題プランは遅いです。
NUROモバイル
NEOプランとバリュープラスプランで品質が異なりますが、eSIMを使いたいが大手キャリア傘下のブランドを使用したくない方にとっては大きな選択肢になります。データフリー通信があるため、データの上りがカウントに入らない、各種SNSの使用がデータにカウントされず使用できる、継続利用している場合はギガが定期的に貰える、などahamoやLINEMOが価格帯や品質ではライバルになりますが、より多くのデータ量が使用できます。通話定額が安いです。個人契約のみ。
eSIM(dプランのみ対応)についてもAPNプロファイル設定は必須です。速度は安定していて、読み込みが遅いと感じることは他の格安SIMに比べると感じません。契約時に使用するスマホのEIDをあらかじめ登録する必要があります。
ahamo
あらゆるキャリアを使っている人に、「とりあえずいったんこちらにするだけで安くなりますよ」と伝えやすいdocomoのサブブランドです。速度は安定していて、個人向けでは定額通話を最も安い料金で付けることが可能です。個人契約のみ。
APNプロファイル不要です。導入にあたって1回線につき1dアカウントが必要になります。2段階認証が必須になり、アプリ認証を設定していない場合、契約した電話番号あてに認証コードが届くため、家族持ちやDアカウントを共有している方は要注意です。
電話料金合算払いが使用できるため、D払いを手軽に使用したい方にとってメリットがあります。
イオンモバイル
安く安定した回線です。各種譲渡等の手続きが行えるなど手続きの幅が広いです。契約月は日割りです。大容量は使用できませんが、家族での通信量の共有プランもあったり、かけ放題などのオプションも安く、GBあたりが最安水準です。
こちらは他の会社に比べノルマが少ないのか、大々的な宣伝もあまり行っておらず、どちらの窓口もイオンらしい接客です。ホームページ上での手続きの案内も充実しており、老若男女問わず困ったらこちらの回線は無難かと思います。
au回線はeSIM対応しています。APNプロファイルは必要になります。