iCloudメールの歴史はそれほど深くありませんが、@mac.comなどを含めると20年弱はサービスを運営していて、それなりに培った技術はあるかと思います。
メールは古くから使用されている技術ですが、なりすましなどが増えてきた昨今、正しい送信者か見分けるために署名や認証の技術が採用されています。
その中にDKIMというメール送信技術があります。メールの仕組み上、送信者のFROMアドレスは自由に書くことができるので成りすましが横行しました。その対策として、いわゆる内容証明のような技術で、送る側が正しく署名してメールを送る技術がDKIM認証です。
@icloud.comや@gmail、@yahoo.co.jpなどフリーメールアドレスやその他企業のメールは必須で採用しています。
問題点
そのDKIM認証が正しく署名されない問題が起こっています。iPhoneやmacのApple Mail(Mail.app)を使用してカスタムドメイン名でメールを送信(SMTP)すると署名されません。ウェブブラウザを介してicloud.comにログインしてメールを使用する分には問題なく署名されるといった具合です。
この問題、去年のiCloud+がリリースされ、カスタムドメインが使用できる様になってから既知のバグなのですが、一向に修正される気配がありません。
直ちにメールが届かないかと言うとそうではありませんが、例えばGmailにおいては一度スパム認定したメール相手をアドレス帳に保存されるまで迷惑メールボックスに入れ続ける問題などがあり、メールが正しく相手に届かない恐れがあります。
解決方法
なんとかしてDKIMをその他メーラーから確実に認証して送る方法は、現在ありません。
icloud.comにアクセスしてメールを送信するか、iCloud+のカスタムドメインでの運用を諦め、DNSで他のサーバーを使用するしか現在は対策ができません。
まだ始まったばかりのサービスで被害者は少ない(ほとんどのケースでは気づく人は少ない)はずですが、重要なところが抜けてのサービス開始はあまりなかったので、Appleはこの問題を重要だと認識していない可能性もあります。
Appleのスペシャリストと話していても解決することがほぼなくなってきて(結局バグであるという結論)、Appleのサポート体制は東洋経済が書いている通り、技術者にとっては自身で問題の解決するか原因を把握することに時間が割かれることが多くなっているのでは、と感じています。